こんにちは。私は1年ほど前に会社を退職し、その後再就職せずに貯えを切り崩しながら1年弱のあいだフラフラとしている者です。潤沢な資産があるわけではないものの、副業や個人事業的なものを含めて一切働いていないという点では現在FIREに近い状態にあるのですが、仕事を辞める前に気になっていたのが「FIREなんかしても、娯楽はすぐに飽きる。そして人との関わりがなくなって精神的に病む(だからFIREなんてやめとけ)」というネット上でまことしやかに囁かれる言説でした。
この記事では、「FIRE生活は病む」という言説が本当かどうか、私一人の経験をもとに非常に主観的な考えをお伝えしたいと思います。n=1であり、生存バイアスがマシマシです。
「娯楽はすぐに飽きる」は割と本当
クリエイティブな趣味であれば別かもしれませんが、ゲーム・アニメ・漫画・映画といった娯楽は「飽きる」とまでは言いませんが、そこまで「欲しくなくなる」のは事実でした。私の場合、退職直後はこれらの娯楽を猛烈な勢いで楽しみましたが、それからある程度の期間が経った後は「ものすごく面白そうで、かつ自分に合っているコンテンツなら試してみようかな」という程度のフラットな気持ちになりました。おそらく会社員時代は「時間の無さ」や「辛い仕事からの逃避」といった要素がゲーム・アニメ・漫画・映画のような娯楽の魅力を盛大にバフしていたものの、仕事を辞めてしばらくするとバフが切れて素に戻ったのだと思います。
「人との関わりがなくなって精神的に病む」かどうかは完全に人による
退職する前から「自分は人との関わりがゼロになっても大丈夫だろう」と予想していました。というのも、「休日に友人の誰とも遊ぶことができず寂しい」とか「ひとり暮らしを始めると最初は寂しさを感じる」という世の中でよく言われる感覚を今までの人生で一度も味わったことがなかったからです。実際に友人と過ごすとそれなりに楽しいのですが、対人コミュニケーションを行うのにクールタイムが必要なのだと思います。「人寂しさ」という感情を動力源にして自分の行動をドライブさせている人たちが世の中に大勢いるというのは、在りし日の自分にとっては結構な驚きでした。
で、果たして退職後1年間無職をしてみてどうだったかというと、予想通り「人との関わりがないことが原因で病むことは無い」でした。すごく無責任で断定的な言い方をしてしまうと、「ひとりでいるとMPが減っていくタイプの人は、仕事を辞めて人との関わりがなくなると病む可能性が高い」「誰かと一緒にいるとMPが減っていくタイプの人は、人との関わりがなくなっても病む可能性が低い」と言えるかと思います。
わたしのような後者のタイプはセミリタイア適性が高くて一見良さそうですが、よく考えると前者の「ひとりでいるのが苦手なタイプの人」はそもそもセミリタイアなんてしなくても働きながら十分幸せに生きられるような気がしますね。
「人との関わりがないこと」以外の原因で病むことはあり得る
ただし「人との関わりがないこと」以外の原因で病むことがあり得ると思っています。というのも、仕事をやめて暇な時間がたっぷりあるので、どうしても「自分は何がしたいのか」「これからどう生きたいのか」「老後はどうするのか」といったことを考えざるをえないからです。自分の人生に強制的に正面から向き合わされるわけです。
一方で、仕事をしている人であれば、目の前の仕事が忙しくて自分の人生について深く考える暇は中々ありませんし、「人生で何をするのか」「どう生きるのか」「老後はどうするのか」を会社がある程度決めてくれます。※表面的には会社ではなく、自分自身で決めることになっていますが、自分で決めたと思っている選択には会社が何を望んでいるかが色濃く反映されるはずです。
「自分が人生で何を為したいのか」を明確に分かっている人は、なかなかいないと思いますが、無職生活を本当の意味で楽しむためには避けて通ることのできない難問です。